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呉田 昌俊
可視化情報学会誌, 24(Suppl.1), p.265 - 268, 2004/07
稠密バンドル流路内を流れる沸騰流のボイド率を、中性子トモグラフィ技術で3次元分布を計測、高速度撮像中性子ラジオグラフィ技術で瞬時値分布を計測し、同一流動条件を多角的に可視化観察することで特徴的な現象を抽出した。この2技術をセット("3D"+"2D+Time")で使用した本実験で、以下の点が新たにわかった:(A)時間平均空間分布から高ボイド率スポットが最上流部の狭間隙部で観察された。一方、瞬時値の時系列観察では、正味の沸騰開始点は統計的に広く分布しており、定常的な高ボイド率スポットは認識できなかった。(B)時間平均空間分布から"Vapor Chimney"現象が観察された。この現象を、瞬時値の動画表示で連続性に注視して観察すると、三角形状の流路部に連続した蒸気通路が形成されているとは限らず、広い条件範囲で蒸気泡・スラグが群を成して間欠的に流れていることがわかった。
呉田 昌俊; 玉井 秀定
Proceedings of 5th International Conference on Multiphase Flow (ICMF 2004) (CD-ROM), 10 Pages, 2004/06
低減速軽水炉炉心内のボイド率分布特性を調べるため、中性子ラジオグラフィ3次元計測技術(中性子トモグラフィ)を用いて、稠密7本バンドル試験体内を流れる沸騰流の詳細な3次元ボイド率分布を計測した。本試験体は、低減速軽水炉を模擬したもので発熱棒径が12mm、棒間ギャップが1mmである。本報では、中性子トモグラフィシステム,実験結果及び、サブチャンネル解析コードであるCOBRA-TFと実験値の比較結果に関して述べる。実験は、研究用原子炉JRR-3炉室内で実施し、新開発の中性子トモグラフィアルゴリズムにより空間解像度が0.1-0.2mm/pixelと高精細でボイド率の空間分布データを測定している。本実験結果から、液膜が狭い領域に集まりやすいこと,蒸気が流路中央部に集まりやすいことなどがわかった。また、COBRAコードはボイド率を高めに計算する傾向があることがわかった。
呉田 昌俊; 星 芳幸; 山田 和幸*; 坂本 清隆*
日経サイエンス, 111 Pages, 2004/01
独自に開発した中性子ラジオグラフィ熱流動計測技術を用いて、燃料棒間ギャップが1mmの低減速軽水炉を模擬した金属製試験体内を流れる沸騰流を計測し、可視化した。本技術の開発により、これまで観察が不可能であった条件でのわずかな水や蒸気の分布と変化を0.1mmの空間分解能,1/1000秒の時間分解能で測定できるようになった。可視化手法として、物質を3次元空間で分類し、例えば「流路内の蒸気割合だけを表示」するMASK処理と呼ぶ3D可視化手法を開発した。また、液塊(水)のダイナミックな流動状況を把握するため、大量の時系列データを高速処理して3次元の動画表示を行った。本開発により、狭い領域に水が留まり易く、水は塊となって中心に近い程高速に流れること等が明らかとなった。(本件は、日経サイエンス主催のビジュアル・サイエンス・フェスタ2003のコンピューター・ビジュアリゼーション・コンテストにおいて入賞し、ポスター発表及び雑誌に掲載されることとなった。)(応募作品は動画である。)
呉田 昌俊
原子力eye, 49(4), p.34 - 37, 2003/04
研究用原子炉の中性子線を用いて、これまで見ることができなかった金属容器内を流れる沸騰流の挙動を1/1000秒ごとに測定・観察する技術を開発した。本誌では、開発の背景,技術の概要,測定・観察例,今後の展開と応用例を紹介する。本技術は、水冷却増殖炉の炉心体系でボイド率を測定し、観察するために開発を進めているもので、中性子線で沸騰流の変化を測定できるところに最大の特徴がある。開発した技術は、高速度撮影による中性子ラジオグラフィ熱流動計測技術であり、中性子源として研究用原子炉JRR-3Mを用いている。本誌では、蒸気泡の発達過程を1/1125秒ごとに捉えた結果や、低減速軽水炉の炉心を模擬した試験体の中の冷却水の挙動を調べた結果を紹介する。
呉田 昌俊; 秋本 肇; 山本 一彦*; 岡田 祐之*
Proceedings of International Congress on Advanced Nuclear Power Plants (ICAPP) (CD-ROM), 7 Pages, 2002/00
低減速スペクトル炉の炉心は、三角格子状の稠密な燃料棒配列であり、BWR型炉は高ボイド率条件で運転する特徴を有する。このため冷却限界の評価、すなわち熱的成立性の検証が重要な課題であった。そこで、BWR型低減速炉スペクトル炉の除熱限界を評価する目的で限界熱流束実験を実施した。本報では、質量速度等パラメータが限界出力に及ぼす影響と、熱設計に用いてきた限界出力計算式の評価結果に関して報告する。本限界熱流束実験により、燃料棒間ギャップが1.0mmである稠密炉心における質量速度,入口水温,出口圧力,そして径方向熱流束比の限界クオリティに及ぼす影響が明らかとなった。また、熱設計に用いてきた限界出力計算式(Arai式)が保守的に評価し、炉心熱設計が妥当であることを検証した。
呉田 昌俊
KURRI-KR-70, p.136 - 147, 2001/10
原研熱流体研究グループが研究開発を進めてきた中性子ラジオグラフィによるボイド率計測に関する結果と現状を報告する。はじめに、片面加熱矩形流路内サブクール沸騰流中のボイド率計測に関する結果を、次に稠密バンドル流路内での空気-水二相流中のボイド率計測に関する結果を示す。高時間分解能(時間間隔0.89ms)で計測した瞬時ボイド率分布をアニメーション表示することで、時間平均ボイド率の分布形状の変化が気泡の合体に起因することを示す。得られたボイド率データにより限界熱流束研究が進展した。バンドル流路内の空気-水二相流中のボイド率変動を計測し、ボイド率実測値が、ドリフトフラックスモデルにより良好に相関できた。並列計算技術を導入することにより処理時間の飛躍期短縮が可能となることを示す。
呉田 昌俊; 日引 俊*; 三島 嘉一郎*; 秋本 肇
日本機械学会論文集,B, 67(661), p.2295 - 2303, 2001/09
中性子ラジオグラフィ高速度撮像法をサブクール沸騰流の瞬時ボイド率及び時間平均ボイド率の計測に応用した。本研究では、瞬時ボイド率の計測結果から瞬時及び時間平均の正味の沸騰開始点を求め、熱流束、質量速度、入口水温、また流路間隙が沸騰開始点の熱平衡クオリティに及ぼす影響を評価した。これらシステムパラメータが沸騰開始点の熱平衡クオリティに及ぼす影響は、本実験範囲内では小さいことがわかった。次に、既存の正味の沸騰開始点評価式の短加熱長矩形流路への適用性を検討した。既存の評価式は、正味の沸騰開始点の熱平衡クオリティを過小評価することがわかった。また、正味の沸騰開始点評価が限界熱流束モデルによる限界熱流束予測に及ぼす影響を試算し、Saha-Zuber式による沸騰開始点評価式を実験式に置き換えることで限界熱流束の予測精度が向上することを示した。
呉田 昌俊
KEK Proceedings 2001-9, p.35 - 39, 2001/04
当研究グループでは、中性子ラジオグラフィを熱流体計測技術として発展させ、既存の計測法では測定が困難であった沸騰流条件を計測できる技術を開発した。本パルス中性子ラジオグラフィ研究会では、当研究グループが開発した計測技術とその結果、そして高中性子束・パルス中性子ラジオグラフィの熱流体計測技術としての可能性を講演する。
呉田 昌俊; 秋本 肇
Proc. of 6th Int. Conf. on Nucl. Eng. (CD-ROM), 13 Pages, 1998/00
大強度陽子加速器ターゲットなどの高熱流束負荷機器開発と関連して、片面加熱矩形流路内でのバーンアウト熱流束の把握が重要な課題となっている。本研究は、片面加熱矩形流路内を高速流速、高サブクール度の水を強制流動させた場合の、バーンアウト熱流束に及ぼす各種流動パラメータの影響を明らかにすること、また、現象論的バーンアウトモデル構築の第一ステップとして高熱負荷時の沸騰様式を観察し整理することを目的とした。本実験では、数百点のバーンアウトデータを系統的に蓄積した。得られたバーンアウト実験結果から、流路幅や入口水温等各種パラメータがバーンアウト熱流束に及ぼす影響を明らかにした。また、高熱負荷加熱面上を高速に生成・移動するサブクール気泡の流動様式を写真観察し、観察結果をもとに、流動様式を3タイプに分類した。そして、得られた実験結果と円管用に提案されているバーンアウトモデルによる計算結果を比較し、適用の可能性を検討した。